胃がんの食事

胃は食べ物を貯留して分泌物と混ぜ、消化する働きをしています。胃が手術によって切除されると、これらの機能がうまく働かなく事になります。

そのため、胃の手術後は食事時などにつかえ感や胸やけ、また便秘、下痢を起こしやすくなります。

手術後しばらくの間はこうした胃の低下した機能を助けるために、食べ物を細かくきざんだり、柔らかく煮込んで、消化の良い食事をするようにして下さい。

胃の切除をしてからの退院後の食事に、基本的に制限はありません。自分の体の回復の状態に合わせて、色々な食品からバランス良く栄養をとることが大切です。

胃の切除した後、体調が変化することが多くありますが、その症状は個人差があります。自分が「何を食べた時、何をした時、こういう状態になる」ということを、少しずつ理解し自分に合った食習慣や生活習慣を作っていきましょう。

数々のガン患者を完治させてきた食事法

ーポイントー

(1)1回の食事量は無理をせず少なめに

  

たくさん食べられない時は、回数を多く。

退院後 約2・3ヵ月間は、3食と2・3回の間食を目安に食事をとるようにしましょう。

個人差はありますが、約3・4ヵ月頃から3食の摂取量が増えていき、間食の量は少しずつ減らしていけます。


(2)ゆっくりよく噛んで

よく噛む事で唾液と食べ物がよく混ざります。そうする事で胃腸への負担が軽くなり、少しずつ食べ物を腸に送り出す働きを助ける事ができます。


(3)食事時間を規則的に

規則的に時間を決めて食事をする事により、食べ物を受け入れる態勢が身体にでき、便通も安定してきます。


(4)段階的に食事内容を変えていく。

食べ物の種類に対する制限はなく、何を食べてもよいのですが、消化の悪いものを一度にたくさん摂ることは避けましょう。

特に繊維の多いもの、油であげたものなどは始めは少量ずつにし、徐々に慣らして増やしていきましょう。

その際には、調理の際に細かくきざんだり、軟らかく煮込むなど工夫をしましょう。

コーヒー、紅茶、煎茶などは始めは薄めにして飲みましょう。


(5)食べすぎに注意

体調が良くなったからといって、一度に食べすぎたり飲み過ぎたりしないように気をつけて下さい。


(6)アルコール

手術後でも、少量のアルコールは飲むことができます。しかし、必ず医師とよく相談の上で開始して下さい。

人によってビールなどの炭酸を含む飲み物はお腹が張って、食事をとりにくくなる事もあります。

食事に影響が出るようなら控えて下さい。

また、手術後にアルコールに弱くなり、今までより酔いやすくなる人もいますので気をつけましょう。


(7)食事をするときはゆっくり楽しく

楽しくゆっくり、時間をかけて食べましょう。好きな器に盛る、盛り方をキレイにしてみる事などで、食欲も増してきて消化や吸収も良くなります。


(8)バランスの良い食事

朝、昼、夕食ともに、「主食」「主菜」「野菜」をそろえてバランスよく食べましょう。

数々のガン患者を完治させてきた食事法

ダンピング症候群について

胃の切除手術後、全体の約20%の人にくらいに「ダンピング症候群」という症状があらわれます。

これは炭水化物が急に胃から十二指腸、あるいは上部空腸内に入ってくるために起こります。

食事中~食後30分以内に症状が現れるものを「早期ダンピング症候群」、食後2時間くらい経ってから症状が現れるものを「後期ダンピング症候群」と呼びます。


(1)早期ダンピング症候群

胃が切除されたことにより、胃液の分泌が減って胃の貯留機能が失われています。そのため食べ物がそのまま腸内に急に排出されることで症状が出てきます。

症状:冷や汗、動悸、めまい、全身がだるい、頭痛、熱があるように感じる、呼吸困難、下痢、腹痛、吐き気。

まずは、よくかんでゆっくり食べるようにして下さい。また食事中の水分を控え流し込むような食べ方はやめましょう。 しばらく横になると楽になることが多いので、症状が起こってもあわてずゆっくり横になり安静にしましょう。

それでも症状が続く場合は医師に相談して下さい。


(2)後期ダンピング症候群

胃の中の食べ物が、急に排出され腸管からの炭水化物の吸収が増えると、血糖値が上がります。 このことによりインスリンが過剰に分泌されて逆に低血糖になってしまう事で起こります。

症状:発汗、全身がだるい、頭痛、ふらつき、震え、息苦しさ、

早期ダンピング症状が起こった後に引き続いて症状が現れます。

原因は低血糖なので、糖分を補うことで症状は改善できます。

食事内容を低糖質で高たんぱく、適度な脂肪にし、1日5・6回くらいにわけて少ない量をこまめに摂るようにしましょう。 あまり冷たい物は摂らないようにし、食後は30分くらい横になり安静にすると症状が出にくくなります。

貧血について

ビタミンB12や鉄分などの造血に作用する栄養素は、胃の粘膜から分泌される胃酸などと合わさって吸収されます。そのため、胃が弱っている時や胃の手術を受けた後では吸収されにくく不足しがちになります。

胃の全摘出手術した人の約70%、一部を切除手術した人の約35パーセントに貧血が起こると言われています。

この貧血が起こる時期は、手術しておよそ3~6年以上経ってからが多いようです。 日頃からこうしたビタミンや鉄分をよりよく摂れるような食事をこころがけて下さい。